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お餅による窒息事故 高齢者は注意しましょう

お正月と言えばお餅

 

 
日本のお正月に、お雑煮は欠かせません。
鏡餅を飾るご家庭も多いのではないでしょうか。

   
 
鏡餅は、お正月にお迎えする「歳神様」へのお供え物だと言われています。
鏡餅は歳神様の「依代(よりしろ)」というもので、神様の魂がここに宿っていると考えられていたのです。
 
歳を取るというのは、この歳神様から魂を分けてもらい、一年分の力を頂くという事。
昔の人が、新年に一つ歳を重ねていたのは、この歳神様から魂(歳)を分けてもらっていたのだということなのです。
いわゆる「数え年」というものは、この歳神様が由来のようです。
 
 
年末の大掃除、門松やしめ飾りなども、この歳神様を迎えるために必要なものだと言われています。

 
 
 
昔は、神様の魂が宿る餅を「年魂」とし、家長が家族にこれを分け与え、皆でそれを食べる事で、歳神様の魂を分けてもらっていたのです。
「お年玉」は「お年魂」が由来だと言われています。
昔は、お金ではなくお餅だったのですね。
 
お正月にお餅を食べるのは、日本の古くからの風習で、とても重要なものでした。
 
 
 
実は、大変ありがたいものであった、お正月のお餅ですが、今はそのような風習を知っている人も少ないでしょう。
 
昔の風習は知らなくても、やはり、お正月と言えばお雑煮。
お雑煮を食べると、何故か新年を迎えた気分になるものですし、単純に美味しいですもんね。
 
 
古くからの風習を知ってか知らぬか、恐らく日本人のほとんどの方が、お正月にお餅を食べるのではないでしょうか。
 
 
お餅は、新年を迎えるに相応しい食べ物ですが、忘れてはいけないのが、お餅による事故。
 
 
毎年、ニュースになっていますよね。
 
 
特に高齢者の方は注意が必要ですよ。
   
      
 
 
 
 
 

お餅による事故

 

 
2016年に公開されたデータでは、過去5年間、東京都だけでも、毎年100人以上の方が、お餅を喉に詰まらす窒息により救急搬送されています。

           
 
事故が特に多いのは12月?1月
そして、事故を起こすのは圧倒的に高齢者が多いようです。
 
高齢者は、飲み込む力(嚥下機能)が低下しますし、高齢になると歯が抜けたりする事もあり、噛む力も弱くなってきます。
 
事故の原因は、お餅にもあります。
お餅は加熱すると柔らかくなり、冷えると固くなるのが特徴です。
お餅が、固くなり始めるのは40℃前後で、ちょうど体温に近い温度です。冬はお餅も冷めやすく、口に入れ咀嚼している時点で、お餅の温度は40℃を下回り、硬さや粘着性を増し、喉を通過します
そのため、嚥下機能が低下し、噛む力が弱くなっている高齢者の方が事故を起こす確率が高くなってしまうのですね。
 
 

                   

 
 
 
 

お餅を食べるときの注意

 

 
危険だと解っていても、お正月にはお餅を食べたいですよね。
それが、日本人というものです。
お餅を美味しく安全に食べるための幾つかのポイントをご紹介します。

         
 
小さめに切るなどして、食べやすい大きさにする
小さくする事で噛みやすくなり、飲み込みやすくなります。
 
よく噛んで食べる
唾液の量が少ないと食べ物が飲み込みづらくなります。よく噛む事で、唾液の量が増え、飲み込みやすくなります。
また、朝は唾液が出づらいので、お茶やスープなどで喉を潤してから、お餅を食べましょう。
 
高齢者の方を気にしてあげる
食べづらそうにしていたり、中々飲み込めないでいたりしている時は、特に注意してあげましょう。家族が見守るというのが、一番の事故予防です。
食事介助が必要な方には、横になった状態では、食べさせないようにしましょう。
 
応急処置の方法を身につけておく
いくら気を付けていても、起こるのが事故です。高齢者だけでなく、若い人がお餅を詰まらせる事もあります。万が一の時に備え、応急処置の方法を身につけておきましょう。
 
餅の代用品を使う
最近では粘着性が少なく食べやすい「うるち米の餅」などが市販されています。特別養護老人ホームなどで、詰まりを未然に防ぐため利用しているようです。
 
 
 
 
 

 

万が一お餅が喉に詰まってしまったら

 
万が一お餅が喉に詰まったとしても、慌てない事が重要です。
 
冷静に対応しましょう。
 
先ずは、救急車を呼びましょう。救急隊員から電話で指示を仰ぐことも重要です。

      
   
 
救急車を待つ間にすべき事。
これが解っていれば、救急隊員から指示をされたとしても、冷静に対処できます。
 
 
意識があるか確認
意識があるのであれば、咳を促しましょう。詰まっているものが吐き出される事があります。
 
 
背部叩打法(はいぶこうだほう)
咳ができない場合、咳で物が吐き出されなかった場合は、背部叩打法を行います。
 
背部叩打法のやり方
立った状態、座らせた状態の場合は、下あごを支えうつむかせた状態で行います。
横になっている場合は、応急処置を行う者もしゃがみ、自分の方に引き寄せ、横をむかせます。自分の脚で対象者の胸を支え、片手で顔を支え行います。
 
背中の真ん中(肩甲骨と肩甲骨の間)を手のひらの付け根部分で強く叩きます。
これは、乳児や、妊婦の方にも有効な方法です。
 
子供の場合は、子供を腕か、ももの上に乗せ、子供の頭が胴体よりし下になるようにし、背中を叩きます。
 
 
意識の無い時は背部叩打法で物を吐き出す事はできません。気道を確保し人工呼吸などを行います。
 
 
腹部突き上げ法(ハイムリック法)
背部叩打法で状況が改善しない場合に行います。
 
ハイムリック法のやり方
先ず、後ろから、対象者のウエスト付近に手を回します。片方の手で握りこぶしを作り、その親指が相手のへその上方で、みぞおちより十分下方の位置に来るように握りこぶしをあてます。
もう片方の手でも握りこぶしを作り、その位置に一緒にあてます。
それを素早く手前上方に突き上げます。
また、この方法では内蔵を傷つける恐れがあるため、異物が出たとしても、医師の診断を受けましょう。
救急隊員にハイムリック法を行った事を伝える必要もあります。
また、乳児や妊婦に行うのは危険です。止めましょう
 
 
心肺蘇生
上記の方法を行っても、状況がよくならない。または悪化してしまった場合は、直ちに心肺蘇生を行います。
また、異物が口の中から見えていたとしても、無理に取ろうとすると、奥に押し込んでしまう恐れがあるので、注意しましょう。

緊急時の詳しい、対処法はこちらを参考にして下さい。
気道異物除去の手順|日本医師会 救急蘇生法 
 
 

 
たまに、掃除機でお餅を吸引したなんて話を聞きますが、あまりお勧めはしません。
掃除機のノズルは太いため、喉や舌などを傷つけてしまう恐れもありますし、逆に奥に押し込んでしまう事もあります。
最近では、掃除機用の吸引ノズルが市販されているようなので、緊急時に最終手段で使用するのは良いかも知れません。いずれにせよ、正しい使い方などは身につけておく必要があります。

   
 
 
 
 
 
 
 
日本人は、昔からお正月にお餅を食べてきました。
縁起物でもあるお餅です。安全に気を付け、もしもの時の備えはきちんとし、お餅を味わいましょう。
        
 
ここまで、お餅の事故について説明してきましたが、それは皆さんに、日本人が、昔からお正月に食べてきたお餅を、安全に美味しく味わってもらいたいからです。
しかし、おじいちゃんやおばあちゃんは、飲み込む力が弱くなっていて、事故の可能性も高まってきます。
おじいちゃんやおばあちゃんに、お餅を食べさせて上げたいという気持ちもわかります。しかし、その気持ちをグッと抑え「お餅を食べさせない」というのが、実は一番の予防法です。
今年はどうしようかなと迷うのであるなら、「今年のお正月はお餅を食べない」というのも、一つの選択肢なのではないでしょうか。

 
 
 
      
 
 
 皆さんが、良いお正月を迎えられますように。
            COUSIN(こうしん)

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