有料老人ホーム入門 特定施設入居者生活介護とは
特定施設入居者生活介護の指定
介護付有料老人ホームなどでは、日常生活におけるサポートや、介護サービスが入居者に対して提供されますが、そのようなサービスを提供するためには、特定施設入居者生活介護の指定を受けなければなりません。
つまり、「介護付き」などと名乗るためには、ある一定の条件を満たし、都道府県知事から、あなたは「特定施設入居者生活介護」の事業者である
という指定を受けなければ、ならないのです。
一般的に、特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設のことを「特定施設」と呼んでいます。
特定施設入居者生活介護とは、高齢者が可能な限り自立した生活ができるよう、特定施設に入居している要介護の方に対する、食事、入浴、排泄などの日常生活における支援や介護、機能訓練などのサービスの事です。
特定施設入居者生活介護は、特定施設と一部の外部サービス事業所のみが提供できるサービスです。
有料老人ホームなどは、介護保険上「居宅」と扱われているため、特定施設入居者生活介護は居宅サービスとなっています。
さらに特定施設には「一般型」と呼ばれる内部提供型と「外部サービス利用型」の2つのタイプがあり、サービスの提供が施設内であるか、外部の事業者であるかの違いがあります。
一般型は、一日当たりの介護費用が一定となるのに対し、外部サービス利用型は、基本サービス費の他に、利用したサービスごとの費用が掛かります。
特定施設の指定を受けるためには、厚生労働省の規定による、人員・設備・運営に関する基準があり、それらの一定の基準を満たす必要があります。
それぞれの基準を見てみましょう。
◯人員基準
生活相談員
常勤1人以上
利用者:生活相談員 = 100:1以上(常勤換算)
要介護の利用者に対して 3:1以上
要支援の利用者に対して 10:1以上
※外部サービス利用型の場合は要介護の利用者に対して10:1以上 要支援の利用者に対して30:1以上
看護職員
利用者が50人以下の場合は1人以上(常勤換算)
利用者が51人以上の場合は50:1以上
介護職員
常時1人以上配置しなければならない
ケアマネジャーを1人以上(兼務可)
利用者に対して100:1以上
1人以上(兼務可)
※機能訓練指導員=理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・準看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の内、いずれかの資格を有する者。
専従(支障がなければ兼務可)
◯設備基準
居室・介護専用居室・一時介護室・浴室・トイレ・機能訓練室・食堂
・原則個室
・介護付の表示をすること
・プライバシーの保護に配慮し、適当な広さを確保すること
・地階ではない(地下)
・出入り口が緊急避難時に問題が無いこと
介護付有料老人ホーム
原則個室 13?以上
ケアハウス
原則個室 21.6?以上
※共同生活を設けるユニット型ケアハウスの場合は、15.63?以上
車いすで移動ができる空間・構造を確保すること
◯運営基準
利用者に合わせた特定施設サービス計画を作成すること
入居前に運営規定の概要や職員体制などの重要事項を事前説明し、同意を得ること
入浴を自力ですることが困難な利用者に対しては週2回以上の頻度で入浴または清拭(身体を拭くこと)すること
スタッフの資質向上のための研修機会を確保すること
地域との連携及び、家族との連携体制が充分にとれていること
特定施設の指定を受けるためには、様々な基準を満たす必要があるのですね。
しかしこれはあくまで基準で、人員配置を「2・5:1」など、基準以上の人員配置をしていたり、基準以上に広い居室を設けている施設も存在します。
また、この特定施設の指定を受けていないホームは、パンフレットやホームページなどで「介護付き」「ケア付き」などと記載することが禁じられています。
特定施設ではないのに、介護付きなどと謳っている施設などには注意しましょう。