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結核は昔の病気?

厚生労働省は、毎年、9月24日から9月30日までを「結核・呼吸器感染症予防週間」と定め、結核などの呼吸器感染症に関する正しい知識の普及啓発を行っています。

結核は、昔に流行った病気だというイメージが強いですが、このように普及啓発を行わなければならないほど、実は身近な病気なのです。

 

 

 

日本では毎年1万人以上が感染

 

結核は、かつて日本で「不治の病」とされ、昭和20年代までは、日本での死亡率の第1位を占めていました。

戦後、生活水準や医療技術の向上により、結核の感染者数は激減しました。

そのため、結核は過去の病気と思われがちですが、日本では、今でも年間1万人以上の方が結核に感染し、毎年1500人以上の方が亡くなっています。

新規結核患者は、高齢者に多く、感染者のおよそ7割以上が60歳以上となっています。

 

結核は、世界的に見ても、いまだに世界の死亡原因のトップ10に入るほどの病気で、毎年1千万人が結核に感染していて、150万人が亡くなっています。

 

 

結核ってどんな病気?

 

結核は、「結核菌」という細菌により引き起こされる病気で、人から人へ感染します。

結核菌は、肺の内部で増殖するケースが多いため、咳、痰、発熱、呼吸困難など、風邪のような症状が現れる事が多いです。

しかし、結核菌は、肺以外の臓器を侵すケースもあり、腎臓やリンパ節、骨、皮膚、脳など、全身に影響が及び、重篤な結核になる可能性がある、恐ろしい病気です。

結核は、一般的な、肺炎やインフルエンザなどの呼吸器感染症とは異なり、ゆっくりと進行するのが特徴です。

そのため、初期の症状が比較的軽く、気づいた時には、かなり進行しているといったケースもあるので、注意が必要です。

 

 

 

結核菌は空気中を漂う

 

患者のくしゃみや咳により、結核菌が体外に排出され、その菌が空気中を漂います。

その結核菌を他の人が吸い込んでしまうと、結核に感染してしまいます。

結核菌は、空気中をふわふわ漂うため、患者がその場にいなくても、感染してしまう可能性があります。

 

結核菌を吸い込んでしまった(感染してしまった)場合、1年~2年以内(6か月以内に発症するケースが特に多い)に発症します。

また、感染者すべての人が発症するわけではありません。

結核に感染してしまった場合、およそ10%~15%の人が発症(1~2年以内)すると言われています。

それ以外の人(2年以内に発症しなかった人)は、自身の免疫力で結核菌を抑え込む事ができているので、発症はしません

また、2年以内に発症しなかった場合でも、菌は冬眠状態となり体内に留まっているため、免疫力や抵抗力が低下すると、再び結核菌が活動しはじめ、結核を発症してしまいます。

高齢になると、免疫力が低下するため、昔、体内に入り込んでしまった結核菌が、冬眠状態から目覚め、結核を発症してしまうケースも少なくありません。

この、冬眠状態からの覚醒が、結核の患者が高齢者に多いという、要因の一つとなっています。

 

 

結核に感染しないために

 

規則正しい生活

免疫力を落とさないため、規則正しい生活が理想です。

バランスのいい食事、適度な運動、十分な睡眠など、規則正しい生活は、万病に効く薬です。

タバコやお酒も程々にしましょう。

 

換気をする

人から人へ感染する病気なので、室内で複数人と過ごす時は、こまめな換気を心がけましょう。

体外に排出された結核菌は、30分以上空気中を漂うと言われています。

 

予防接種

子供は抵抗力が弱く、結核に感染すると、重症になる可能性が高いため、BCG接種が有効です。

日本では、生後1歳になるまでにBCGの予防接種が行われています。

標準的な接種時期は、生後5か月から8か月です。

 

 

 

症状を知ろう

かつて不治の病と言われていた結核も、現代では治る病気です。

早期発見と、早期治療が重要です。

 

2週間以上続く咳には注意

咳や痰が2週間以上続く場合は、注意が必要です。

 

倦怠感や体重減少

特に高齢者においては、体のだるさ、急な体重減少は、結核の可能性があります。

 

発熱、寝汗

風邪とよく似た症状ですが、この症状が長く続くようなら、ただの風邪ではないかも知れません。

高齢者の場合は、ただの風邪だと油断せずに、早目の受診を心がけましょう。

 

結核は、風邪とよく似た症状を発症することが多く、発見が遅れてしまう事が多い病気です。

気づいた頃には、重症になっている事もあるので、注意しましょう。

特に高齢者は、症状が出にくいので、周りの家族などが、変化に気づいてあげる事も重要です。

高齢者は、年に一回、胸のレントゲン検査を受けましょう。

 

 

結核と診断されたら

 

結核は、薬の服用で治すことができます。

人に感染させてしまう可能性のある症状の場合は、入院が必要です。

 

結核には、長期の治療が必要で、完治には6か月~9か月かかります。

この間、症状が無くなったからと言って、途中で薬の服用を止めてしまうと、結核は完治しません。

それどころか、薬に対する抵抗力が結核菌についてしまい、薬が効かなくなってしまいます。

そうなると、治療が難しくなってしまうので、お医者さんの指示をきちんと守り、治療に専念しましょう。

結核は、きちんと治療すれば、それほど怖い病気ではありません。

結核は、風邪とよく似た症状と、過去の病気だという先入観から、発見が遅れてしまいがちです。

結核は、早期発見と早期治療が重要です。

この記事で、結核がどういう病気なのか、何となくわかって頂けたかなと思います。

特に高齢者の方は、ただの風邪だと油断せず、早目に病院で受診しましょう。

 

 

 

 

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