こうしんの介護に関する基礎知識 言語聴覚士
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)については、もう既に、「こうしんの介護の関する基礎知識」で解説させて頂きましたが、PTとOTと併せて知っておいてもらいたいのが、「言語聴覚士」です。
「言語聴覚士?聞いた事もない」
でも、何となく想像つきませんかね。
「理学療法士、作業療法士と来ている流れで考えると、リハビリに関係している?」
さすがです、その通りです。
「鋭いでしょ!」
‥‥。
まあ、何となくリハビリに関係していそうだな、という事は分かって頂けたかと思います。
では、一体、言語聴覚士とはどのような人なのでしょう。どのようなリハビリに関わってくる人達なのでしょうか。
言語聴覚士を英語で言うと、Speech-Language-Hearing Therapistとなります。
それぞれの単語の意味はこうです。
Speech 話す
Language 言葉
Hearing 聴く
Therapist 療法士
これらを繋ぎあわせて、言語聴覚士という和訳になります.
そして、Speech-Language-HearingとTherapistの頭文字を取り、言語聴覚士の事を、STと呼びます。
(PT)、OT、STと、なんだか、こんがらがりそうですが、それぞれの英単語の意味を覚えておけば、簡単に区別が付くと思います。
PTのPは Physical(フィジカル) 身体のと言った意味です。身体の機能を訓練してくれる人が、理学療法士、PTです。
次いで
OTのOは Occupational(オキュペイショナル) 作業のと言った意味です。日常の作業や行動を基に、心と身体のリハビリを行ってくれるのが、作業療法士、OTです。
別に暗記する必要はありません。
何となく覚えておいてもらえれば大丈夫です。
「STは分かったけど、一体どんな事をしている人達なの?」
言語聴覚士Tと言われても、何の事だかよくわからないですよね。
それでは、この言語聴覚士はどのような仕事をしているのでしょうか。説明していきましょう。
「話す」「聞く」「食べる」この行動って、私達が生きていく上でとても大切な事ですよね。
私達は普段、自然と無意識に行っている事ですが、病気や事故、加齢や、生まれつきの障がいなどにより、この「話す」「聞く」「食べる」といったことに不自由を感じている人達がいます。
脳卒中などの病気、加齢による認知症、交通事故による脳の損傷で、うまく話せなくなる言語障害。
喉頭がんなどで声帯を失い、声が出しづらくなる音声障害。
高齢者に多く見られる嚥下機能(飲み込む力)の低下。
※嚥下機能が低下すると、食べ物を飲み込みづらくなり,食事中の喉の詰まりや、食欲の低下にも繋がり、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。
その他、子供の発達障害などによる、ことばの発達の遅れなど、「話す」「聞く」だけでなく、読む、書くなどのコミュニケーションの問題や、噛む力や、飲み込む力「食べる」事に対する問題を抱えている人に対し、リハビリなどの、訓練や指導だけでなく、様々なサポートをしてくれます。例えば、その人の持っている能力を最大限生かしたコミュニケーション方法の提案などですね。
それが、言語聴覚士。STの仕事です。
高齢者の方は、認知症によるコミュニケーション障害や、飲み込む力などが低下する嚥下障害、加齢による聴覚障害に対するリハビリで、主にSTさんの力を借りる事になりますね。
私達が生きていく上で、コミュニケーションや食べるという行動は、とても大切な事であり、とても楽しい事ですよね。
言語聴覚士は、その大切であり楽しい事に関する専門家です。
医療や介護、福祉の世界で様々な人を支えています。
1997年に国家資格とされた、比較的新しい職業ですので、これから、さらに幅広い活躍が期待されています。
どうですか?STの仕事。(PT)、OTと共に覚えて頂きたかった理由、わかって頂けたのではないかと思います。
有料老人ホームにどのような専門家がいるのか。これも、有料老人ホームを選ぶ上で、重要な要素の1つになってくるのではないでしょうか。